前作で頂点を極めたバンドが放ったのは、ヒット曲を作ることで生まれる葛藤や苦悩が深い海の底に眠る「シーラカンス」に例えられ、ラスト“深海”まで音楽シーンのアイコンとなったミスチルの虚像と実像が迷い込んだコンセプトアルバム。別れた後の“手紙”、出会いから別れをドラマのように描く“ありふれたLove Story”、ギターの軽やかさが際立つ単純明快なラヴソングが優しく響く“Mirror”までの流れは心地よいし、“虜”での惹かれあう男女が昇天していく部分など今作でしか表現できない独特の空気感が包み込みます。“名もなき詩”、“花”の歌詞はいつも等身大になってくれて、いつ聴いても突き刺さる唄です。