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「赤ん坊がいるのか」
「もう赤ん坊ではないわ」

仕事でギリシアの島を訪れたエンジェルは、
島の所有者に出迎えられた瞬間、凍りついた。
彼――アレックスとは6年前、たった一度だけ熱い夜を共にした。
誘惑は抗いがたく、エンジェルは純潔を差しだしたのだ。
ところが翌朝、彼は別人のように冷淡な態度で帰り支度を始めた。
そのときだった、ポケットから結婚指輪が落ちたのは……。
そしていま、目を合わせた瞬間、エンジェルはすぐにわかった。
彼は私を覚えている! でも、彼は知らない――
あの夜宿した彼の子を、私が産み育てていることは……。