ドイツのベテラン・ヘヴィ・メタル・バンドによるナパーム・レコード移籍後初となる17枚目スタジオ・アルバムです。プロデュースは今回もアンディ・スニープが担当。メンバーはマーク・トーニロ(Vo)、ウルフ・ホフマン(G)、ウヴェ・ルイス(G)、マルティン・モイック(B)、クリストファー・ウィリアムズ(Dr)の5人。前作ではフィル・ショウズ(G)も加えたトリプル・ギター編成でしたが、フィルはあくまでツアー要員であるようです。楽曲は比較的シンプルでコンパクトな作りとなっており、シタールによる中近東風のイントロやインスト・パートにおけるモーツァルトの「レクイエム」の導入といった見せ場を有する1.DIVING INTO SIN、スリリングな曲調の2.HUMANOID、二度にわたるギター・ソロがメロディアスな3.FRANKENSTEIN、AC/DCの様な縦ノリ曲の4.MAN UP、スリリングで緊張感に満ちた5.THE RECKONING、グリーグの「山の魔王の宮殿にて」のフレーズを導入したパワフルな8.UNBREAKABLE、キャッチーな9.MIND GAMES、スピーディーでヘヴィネスな11.SOUTHSIDE OF HELL等、充実した楽曲を多数収録しておりますが、必殺の名曲が見当たらないのも事実。前々作発表後にバンドを脱退したピーター・バルテスが元メンバーのウド・ダークシュナイダーやステファン・カウフマンを擁するU.D.O.と活動を共にし始めた事で、いよいよどちらが本家か分からなくなってきた感があります。