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「パルムの僧院」
聖職者になるため、故郷パルムに戻ってきたファブリスの恋と冒険を描くロマン大作。
原作は18世紀フランスの文豪スタンダールによる。
主演のジェラール・フィリップは初のアクションに挑み、実力人気共に彼の代表作となった。この後、ジェラールは同原作者による『赤と黒』の映画化でも主演を果たす。共演には、あでやかなサンセヴェリナ侯爵夫人に、『ブローニュの森の貴婦人たち』(44/ロベール・ブレッソン)、『天井桟敷の人々』(45/マルセル・カルネ)、『オルフェ』(50/ジャン・コクトー)のマリア・カザレス、一方、『罪の天使たち』(43/ロベール・ブレッソン)などで知られるルネ・フォールが可憐なクレリアを演じて対照的な美しさを見せている。
撮影は、『オルフェ』、『獅子座』(59/エリック・ロメ-ル)などのニコラ・エイエで、戦後初めてイタリアでオール・ロケされた。監督は、この後『花咲ける騎士道』(52)でもジェラールと組んだクリスチャン・ジャック。

「美しき小さな浜辺」
雨の降り続く海辺の町を訪れ、過去を見つめる謎の青年の姿を描くミステリードラマ。
ジェラールは運命に翻弄され、苦悩する青年を演じた。陰影に富んだ撮影は、『美女と野獣』(46/ジャン・コクトー)、『ジュリエット あるいは夢の鍵』(51/マルセル・カルネ)、また『ローマの休日』(53/ウィリアム・ワイラー)、『ベルリン・天使の詩』(87/ヴィム・ヴェンダース)など数々の名作を手掛けたアンリ・アルカン。監督は、この後『狂熱の孤独』(53)、『男の世界』(56)でジェラールと組むイヴ・アレグレ。脚本担当ジャック・シギュールとのコンビで、当時流行していた"絶望"を描き、ペシミスティックな作品に仕上げている。
風に吹かれ雨に濡れながらの長いリハーサルに、ジェラールは皆を励ましながら、常に機嫌良く撮影に臨んだという。