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現実の戦闘に、戦場の美学などというものは全くない。
砲火と銃撃の中、ただ流血と、砂塵と、焼け焦げたものの残骸が散らばるだけ―。


旧ソビエト連邦崩壊によって1991年に独立したタジキスタン共和国だが、翌92年には共産党政権と反政府組織との間で内戦が勃発する。
本作は、その政権側の支援として内戦に派兵されたロシア軍部隊に同行し、若き兵士たちの姿を撮った長編ドキュメンタリー。

『日陽はしづかに発酵し…』『静かなる一頁』『ストーン』そして『エルミタージュ幻想』『太陽』『ファウスト』など独自の映像世界を切り開いてきた巨匠アレクサンドル・ソクーロフ監督が、ベータカム・ビデオを駆使して完成させた金字塔ともいえる作品。撮影の対象となったタジキスタン=アフガニスタン国境地域に駐屯するモスクワ国境警備隊第11駐屯地の兵士たちは、撮影後に大規模な戦闘状態となり、結果ひとりも生還したものはいないといわれる。
ナレーションはソクーロフ本人によるもの。

※デジタルリマスター版
※本編中映像の一部に乱れがございますが、オリジナル原版マスターによるため、何卒ご了承ください。