1936年7月バイロイト音楽祭初日のラジオ生中継の第3幕のみの断片録音。 この年の夏に開催されたベルリンオリンピックの開会式に向かう前のヒトラーがこの地で休息を楽しんでおり、もちろんこの音楽祭の観客の客席にもいたとか。この影響か演奏は、何か狂気的な雰囲気が音から伝わってくるようで特にTrack4「行進と国王の入場」の合唱は皆でドイツを讃える歌は凄みを感じる（この演奏に感動した独裁者が演奏者の楽屋まで押しかけて一人一人に握手をしたとか😞⤵）。大戦が勃発するのはこの3年後😨 また、これとは別の録音の最晩年の1954年4月のベルリン・フィルとの「前奏曲と愛の死」は最後にこの指揮者がたどり着いた演奏の特徴や解釈が聴けて感情的かつ官能的です。 なお、このローエングリンの録音はアセテートなどの録音盤によるものと考えられ、当時の録音技術を考えると断片でも残っていることだけでも録音の歴史的な意義とランツ・フェルカ―のローエングリンの美しいテナーの歌いっぷりが聴けることに価値があると思います。こういう事も理解せずに簡単に高音がキンキンすると言ったり、全曲の録音がないことをくやしがったり、今どき某物故音楽評論家のようにやっぱりワーグナーはクナのほうが音楽が大きい？と評するナイーヴな方はいませんよね。