＜商品の情報＞
ぼくらは常に悶々としていた。

中村幻児―ピンク映画を中心に活躍。72年「悲しき妖精」でデビュー。今までに100本近い作品を監督し、ズームアップ映画賞受賞「濡れた唇・しなやかに熱く」(80年)はその代表作。幻児プロダクション(後、映像塾へ発展)を創設し、多くの若手監督を育成した功績は輝かしい。パセティックな青春ものを得意とし、本作「悶々時代」では、ラストシーンで流れる「青春時代」がアンビバレンスな感じで、且つ、やけに納得いくのが面白い。

1976年12月31日劇場公開(幻児プロ配給)

＜あらすじ＞
とあるボロアパート。6号室にチンピラ。4号室に山田夫婦。そして、5号室に予備校生のケンイチ。ここは東大を目指し勉学に勤しむケンイチにとって最悪の環境。何故かと言うと、薄い壁を通して両隣から、いつも喘ぎ声が聞こえてくるし、年増の大家は色目を使ってくる。街へ出ればすれ違った女性に一目惚れ・・・。集中して勉強しようとしても、この時期の若者にとっては悶々とするばかり・・・。こんな事では東大は夢のまた夢。これではいかんと、ある計画を練るケンイチ。それは、友人に隣の山田夫人を強姦させて、対面を悪くして引っ越しさせてしまおうというもの。しかし、押し入った友人が抵抗した夫人に刺されて殺される。友人には悪い事をしたが、これで山田夫婦は引っ越す事に。やっと勉強に打ち込めると思った矢先、街角ですれ違ったあやこという女性が空いた4号室に越してきた。年齢も近いせいか親密になる2人。そんなある夜、6号室のチンピラがあやこの部屋へ忍び込んだ。悲鳴をあげるあやこ。駆けつけるケンイチ。そしてチンピラの頭に一発!打ち所が悪くチンピラは死んでしまう。落ち込む2人は心中しようと決意するが、女も知らないで死んでいくケンイチを哀れに思ったあやこは、ケンイチのために最初で最後の女として身を捧げる。―そして海―。2人は海へと身を投げるが・・・。