＜商品の情報＞
対独協力者でもあったフランスの実態を正直にみつめるこの時代を描いている戦後に製作されたほとんどすべての映画と異なり、ナチスに抵抗して戦う人たちを主人公にした話ではない。ナチスに迎合してユダヤ人を迫害した、フランスという国のもう一つの顔を、自省と悲しみの目でみつめた映画だ。当時、南フランスにはヴィシー政府というれっきとした親独政府もつくられていたし、けっして反ナチの勢力があの頃の主流であったとはいえないだろう。
『死刑台のエレベーター』『地下鉄のザジ』の巨匠、ルイ・マル監督が、現代フランス文学を代表する作家パトリック・モディアノ(2014年 ノーベル文学賞受賞作家)とともに書き上げた脚本を映画化。

原題 Lacombe Lucien

1975年5月3日日本公開(20世紀フォックス配給)

＜あらすじ＞
17歳のルシアンは、レジスタンスに加わりたと思い立つがなだめられ、結局ゲシュタポの一員になった。やがてルシアンは、隠れ住んでいたユダヤ人の美しい娘フランスの一家と知りあう。権力を盾に家庭のなかへ傍若無人に踏みこんでくる若僧を拒否はできず、フランスはとうとうルシアンと深い仲になる。父親が収容所へ送られる。そしてルシアンが、フランスと祖母を連行するために訪ねてきた。だが彼は同行したドイツ兵を射殺し、三人のスペインへ向けての逃避行がはじまった。