＜商品の情報＞
学生映画から脱却して初めてプロフェッショナルな映画製作に挑んだ、スコリモフスキ長編第二作にして“アンジェイもの”第二作。
30歳の誕生日を目前にしたアンジェイは、自らの怯懦な生き方を捨て、困難に立ち向かう決意をするが・・・。

『身分証明書』に続いてアンジェイ・レシュチツを主人公とし、スコリモフスキ自身がアンジェイ役を演じた続編的作品。とはいえ本作は、前作を観ていなくとも独立した作品として楽しめる。ここでのアンジェイは、兵役を終え30歳を目前に控えた、流れ者のいかさまボクサーである。映画は列車に乗って地方都市にやって来たアンジェイが、偶然再会した旧知の娘テレサ(アレクサンドラ・ザビエルシャンカ)と行動を共にする、約1日半の出来事を描く。

自殺娘、剽軽なこそ泥、謎めいたアンジェイの旧友といった人物たちが次々に登場して映画に詩的な含みを加えつつ、アンジェイとテレサの「不戦勝」の物語が織り成されてゆく。『身分証明書』に続いて本作でも基本的に長廻し撮影が用いられており、絶えず動き回る数多くの登場人物たちを追うその流動的で力強い移動およびズーム撮影と相俟って驚異的な効果を生み出している。

＜あらすじ＞
アンジェイはボクサーとしてある程度経験を積んでいるにも関わらず、各地の初心者向けボクシング試合に出場し、優勝して商品を獲得することを繰り返している無為徒食の輩。対するテレサは社会人として順風満帆な人生を歩んでいるかに見えるが、実は彼女も自らのうちに抜きがたい脆弱さを抱えていた。10年前の学生時代に政治的敵対関係にあった、一方は非順応主義者、もう一方は順応主義者の男女二人。彼らは再会することで、それぞれの人間的弱さに立ち向かう機会を得るが・・・・・・。