英国の伝説的ハード・ロック・バンドによる第1期メンバーとしては最終作となるバンド名をタイトルに据えたサード・アルバム(邦題は「素晴らしきアートロックの世界」)で、本作も母国英国に先行して米国テトラグラマトン・レコードから発表されました。プロデュースは引き続きデレク・ローレンスが担当、メンバーも前作と同じくロッド・エヴァンス(Vo)、リッチー・ブラックモア(G)、ジョン・ロード(Key)、ニック・シンパー(B)、イアン・ペイス(Dr)の5人です。画家であるヒエロニムス・ボッシュの「快楽の園」をモチーフにしたアルバム・ジャケットは混沌としていてこの上なく不気味ですが、個人的には第1期の作品の中では本作がフェイバリットです。アフリカン・リズムを取り入れたトライバルな1.CHASING SHADOWS、ハープ・シコードの音色が煌びやかな2.BLIND、ロッド・エヴァンスがディープな歌唱を聴かせるドノヴァンのカヴァー3.LALENAといった佳曲が続きますが、テープを逆回転させた4.FAULT LINEをイントロにした5.THE PAINTERではリッチー・ブラックモアのギターが冴え渡ります。レコードでのB面に当たる6.WHY DIDN'T ROSEMARYや7.BIRD HAS FLOWNもブラックモアのギターが目立つ比較的ハード・ロッキンな曲で、最後はアルバムのハイライトとなるメロトロンやオーケストラを駆使した10分以上にわたる協奏曲8.APRILで締め括られますが、この曲の終盤でも熱いギター・プレイを聴く事ができます。