＜商品の情報＞
“雪解け”後の解放的なワルシャワを舞台に描かれる、普遍的な若者群像。
若き医師と、彼が偶然出会ったひとりの娘が繰り広げる、恋の駆け引き。
歴史的・政治的主題から離れ、社会観察に主眼を置いたアンジェイ・ワイダの異色作。

1960年のポーランド映画『夜の終りに』は、アンジェイ・ワイダにとって初のオリジナル脚本に基づいた映画作品である。脚本は、作家イエジー・アンジェイェフスキと、後に映画監督となるイエジー・スコリモフスキの共同執筆によるもの。若い医師の仕事、趣味、人間関係を背景に、出会って間もない男女の微妙な感情的移ろいを描いている。本作が現代の若者風俗を政治とは無関係な立場で描いたワイダには珍しい作品となった背景には、製作当時(1950年代未明～1960年代初頭)ポーランド社会に訪れていた政治的な"雪解け"のもたらした解放感が影響している。
スコリモフスキは、基底をなすストーリーに、西側の流行文化や機器、ほのめかしに満ちた台詞の数々といった独自の要素を導入した。ワイダとスコリモフスキの共働によって生まれた本作は、記録映画的側面に加え、その心理描写において映画ならではの表現を駆使した魅力を豊かに備えており、時代と国籍を超えて観客の共感を呼ぶ普遍性を感じることができる。

原題 NIEWINNI CZARODZIEJE
仏題 LES INNOCENTS CHARMEURS
英題 INNOCENT SORCERERS

1963年6月23日日本公開(新外映配給)

＜あらすじ＞
ワルシャワの街。アパートで独り暮らしをしている若い医師アンジェイ(タデウシュ・ウォムニツキ)は、昼は体育館の医務室で働き、アマチュア・ジャズバンドのドラマーとして活躍していた。いつものようにナイトクラブでの演奏を終えると、友人のエドムンド(ズビグニェフ・ツイブルスキ)との待ち合わせ場所の酒場に向かう。すでに待っていたエドムンドの計略で、アンジェイは見知らぬ娘(クリスティナ・スティプウコフスカ)に誘いをかけるはめになる。アンジェイと娘はなんとなく話し始め、一緒に歩き出すが、終電を逃してしまう。仕方なく、アンジェイのアパートへとやってきた二人は、どちらからともなく恋愛ゲームを始める……。