＜商品の情報＞
ボードレールに心酔する少年、春日高男。
抗いきれぬ衝動のままに、密かに想いを寄せる佐伯奈々子の体操着に手を掛けたその時から、彼の運命は大きく揺れ動くことになる。
その行為の一部始終を目撃した、仲村佐和の手によって……。
閉塞的な小さな街のなかで、鬱積してゆく思春期特有の若者たちの激情はどこへ向かうのか。
これは誰もがいつかは通る、あるいは既に通り過ぎた、思春期の苦悩と歓喜との狭間で記される禁断の青春白書である。

＜あらすじ＞
四方を山に囲まれた、都内近郊のとある県。ボードレールの「惡の華」を読み、他人と優越を図る文学少年春日高男は、クラスで孤立している訳でもないごく普通の中学二年生。ある日放課後の教室で、憧れの佐伯の体操着を思わず盗ってしまう。怖気づいて返せなくなっていた所、現場を目撃していた嫌われ者の仲村が現れ、ばらさない代わりに、春日の「変態」をさらけ出すという契約を交わす。大好きな佐伯とデートをする事になった春日に仲村が出した命令は盗んだ体操着を下に着ていく事だった。不安を抱えながらデートを進める春日に、ひっそり付いて来た仲村の出した命令はキスをする事。仲村の命令を遮り純粋な告白をした春日と佐伯は付き合う事となる。その後佐伯も巻き込んで命令を下す、町の"向こう側"に行きたい仲村。次第に「変態」をさらけ出し、"向こう側"を作ろうとする春日。春日の「変態」に気付いても必死について行こうとし、二人の関係に嫉妬する佐伯。入り交じる三人の感情の行先とは…。