＜あらすじ＞
小品ながら、市民の日常生活を生き生きと描く中にサスペンスを醸しだし、イギリス時代のヒッチコックの成熟を示す佳作。スパイが爆弾を仕掛けようとするが、外出できないため少年に爆弾を持たせて指定の場所に置かせようとする。しかし、少年は寄り道をしたり、パレードに妨げられたりしているうちに、時限装置の爆発時刻となりバスごと爆死する･･･。少年の無邪気な行動と爆発時刻に近づく時計とが対比される場面のサスペンスの高まりは忘れられない。しかし、ヒッチコック自身は後年「少年を死なせたのはミスだった」とトリュフォーに語っている。それは少年の観客に愛されるようなユーモラスな造形があまりにも成功していたからであろう。 善良な映画館主を装って破壊活動をする男と、彼の家庭に八百屋の御用聞きを装って近付く若い刑事の対立。危機を察して男は、義弟に時限爆弾の入った包みを、もちろん、それとは知らせず託して運ばせようとする。