＜商品の情報＞
『恋人のいる時間』の原題は『ある既婚女性』。女主人公の若い人妻シャルロットを演じるのは当時23歳のマーシャ・メリルだ。当時、映画表現の革新者として知的前衛の最先端にいた33歳のゴダールがヴェネツィア国際映画祭への参加を前提に、異例の速さで完成させた。撮影は1964年6月29日から7月21日にかけてパリで行われた。この映画で、ゴダールは、中産階級の若い女性の類型的な24時間の情事を、一定の距離を置いて観察すると同時に、広告表現に象徴される同時代の消費文化を批判し、更に当時の保守的な性的理論の表現上の規制に果敢に挑戦している。

原題 UNE FEMME MARIEE: SUITE DE FRAGMENTS D'UN FILM TOURNE EN 1964

1965年2月20日日本公開(松竹映配配給)

＜あらすじ＞
パリに住む中産階級の若い人妻シャルロット(マーシャ・メリル)は、舞台俳優のロベール(ベルナール・ノエル)の新居で隠れた情事を楽しむ。彼には夫に離婚を要求していると言ってある。彼女と、長期出張の多い軽飛行機の操縦士の夫ピエール(ピエール・ルロワ)のあいだには、夫が前妻とのあいだにもうけた幼い息子ニコラがいる。ピエールは一度は彼女の浮気を疑ったが、今は妻の貞淑を信じているようだ。自ら虚言癖があると自覚しているシャルロットは、自分の性的魅力を高めることに強い関心を持ち、女性誌の下着の広告に熱心に目を通す。彼女自身、女性誌の写真モデルでもある。自分の胸の形を常に気にするのも、無数の広告や雑誌記事がそう仕向けているからだ。だが、自分も夫も愛人も欺き続けている彼女も、ある現実に直面し、大きな決断を迫られることになる。