＜あらすじ＞
将来に何の不安もなく気ままに過ごしていた一人の青年・石嶺栄作（村上信五）25歳。栄作には、高校時代からつき合っている恋人・桜井美香（田中麗奈）がいるが、いつも男友達優先で美香のことは放ったらかし。美香は、友人から「あんな男、別れたほうがいい」と言われても照れ屋で不器用な栄作のことを誰よりも理解していた。ある日、栄作は美香とのデート中に胸に痛みを覚えて激しくせきこみ、血を吐いてしまう。病院で診察を受けると「数十万人に一人」という症例の少ない悪性腫瘍と診断される。すぐに入院して抗がん剤治療を開始した栄作だったが、想像を絶する副作用の苦しみと、死ぬかもしれないという恐怖で自暴自棄になり、毎日見舞いに来る美香にもつらくあたってしまう。だが、美香は決して挫けずに懸命に栄作のそばに寄り添っていた。 そんな中、栄作が「おばあ」と慕う沖縄の祖母から治療費として50万円が送られてくる。自分の生活も楽ではないおばあからの金に驚いた栄作が電話をかけると、おばあは「なんくるないさ。早く体を治して遊びに来い」と笑う。おばあの気持ちが心に染みる栄作。さらに、中学時代からの仲間たちも見舞いに駆けつけ、栄作は病気と向き合う大きな力をもらう。そして腫瘍摘出の手術が成功し、生きていることの幸せをかみしめた栄作は、ずっとそばで見守っていてくれた美香の大切さに気づく。「俺は一人じゃない。みんなのおかげで今、生きてるんだ」――。病気は、自分勝手だった栄作にいろいろなことを教えてくれたのだった。しかし、病気はまだ栄作を許してくれなかった。半年後、悪性腫瘍が再発してしまい……。