「ヘヴィ・メタルの祖」とも呼称される英国はバーミンガム出身のヘヴィ・メタル・バンドによるヴァーティゴ・レコードから発表された7枚目スタジオ・アルバムです。バンド自身のプロデュースによりマイアミのクライテリア・スタジオにてレコーディングが行われ、全英13位、全米51位を記録し、50万枚以上を売り上げました。オジー・オズボーン(Vo)、トニー・アイオミ(G)、ギーザー・バトラー(B)、ビル・ワード(Dr)の4人のメンバーに加え、ジェラルド・ウッドロフ(Key)が参加。世間では「駄作」との烙印を押されることの多い本作ですが、楽曲の水準は高く、ギャロップ気味のビートが格好良い1.BACK STREET KIDS、その後のオジーのソロ時代の楽曲を彷彿とさせるミサ曲の様な2.YOU WON'T CHANGE ME、ワードがヴォーカルを取る美しいピアノ・バラードの3.IT'S ALRIGHT、ダブルで録音されたヴォーカルと終盤のギター・ソロが秀逸な最も従来のサウンドに近い8.DIRTY WOMANといった好曲を収録。イントロのドラム・ロールが激しい4.GYPSY、ブルージーな5.ALL MOVING PARTS (STAND STILL)、明るいロックン・ロール曲の6.ROCK 'N' ROLL DOCTORはこれまでにない作風であるし、アコースティック・ギターとストリングスが美しいバラード7.SHE'S GONEも悪くありません。従来のサウンドからの大きな変化を捉えて「実験性に満ちた作品」と評価する向きもある様ですが、メジャー・キーを多用し始めた本作よりも独特の重量感を生み出した従来のサウンドこそが実験的なのではないかと個人的には思ったりもします。本作に伴うツアー後、音楽性に不満を抱いたオジーが一時期バンドを脱退してしまいます。