＜あらすじ＞
吉高由里子という女優さんは実に不思議な人だ。一体どこまでが芝居で、どこからが素なのか、決して正体をつかませない。あるいは、すべてが芝居なのかもしれないし、すべてがリアルなにかもしれない。それにも関わらずどこまでもコケティッシュな吉高さんと一緒に、私たちは奈良を旅した。地元のおじさんたちと麻雀をすると意外なほど強かったりもするし、奈良町の公民館の中でピアノを見つけると即興でどこか物哀しい演奏をする。お酒もかなりいけるみたいだし、平気でオヤジギャグのようなものも飛ばす。そうしたこと全部が、女優・吉高由里子を構成する要素なのだ。彼女より１３歳年上の映画監督・タナダユキは、そんな玉虫色の女優に果敢にまっすぐな球を投げ込んでいく。遷都１３００年の古都・奈良を舞台に、２つの類稀な才能が出会って化学反応を起こす―それが、この不思議な物語を紡ぎ上げたのだ。