＜商品の情報＞
巨匠アントニオーニが、世界の空虚、愛の砂漠を抉る。デジタルリマスター版で登場! イタリア北部の工業都市ラヴェンナ。無機質な工場が立ち並ぶこの街に、技師のウーゴ、息子のヴァレリオとともに暮らすジュリアーナは、事故を起こして退院したばかりだった。幸いにもけがはなかったのだが、事故の精神的ショックからはいまだ癒えず、精神的に不安定な日々を送っていた。そんなある日、ジュリアーナは夫から友人のコラドを紹介される。同じような苦悩を抱えていたふたりは、次第に接近してゆくが…。
60年代初頭、『情事』『夜』、そして『太陽はひとりぼっち』と、〈現代人の孤独〉や〈愛の不毛〉といった言葉によって表される、人々と世界との齟齬をテーマにしてきたアントニオーニ。そのミューズともいうべきモニカ・ヴィッティの気怠くクールな美しさに反射する世界の空虚な手触りが、寒々とした冬の色彩のなかに物憂く結晶化する――。

原題 IL DESERTO ROSSO

1964年度 ヴェネチア国際映画祭金獅子賞受賞

＜あらすじ＞
巨大な工場が排煙を撒き散らす港ラヴェンナ。その工場で働く技師ウーゴの妻、ジュリアーナは神経症に悩まされている。海外で働く技師をスカウトしようとウーゴの職場を訪ねてた男、コラドは美しいジュリアーナに興味を引かれる、ことあるごとにパニックに陥る彼女の前で成す術がない…。憂いを帯びた美しいジュリアーナを演じるのは、『情事』『夜』でアントニオーニと組んでいるモニカ・ヴィッティ。ジュリアーナに惹かれるコレドにはアイルランド出身の名俳優リチャード・ハリス。美しくも冷え切った風景を切り取る撮影には『欲望』『ある女の存在証明』でアントニオーニと組み、近年では、ウディ・アレン作品の常連であるカルロ・ディ・パルマが担当している。