＜商品の情報＞
昭和38年に公開された黒澤明監督の『天国と地獄』は、それまでの映画では描かれなかった異常な知能犯という犯人設定と、走る＜こだま号＞を利用した身代金の奪取という全く意表をついた犯行が話題を呼び、記録的な大ヒットとなったサスペンス映画の傑作である。
ニヒルでクールな知能犯という設定は、その後の刑事映画に多大な影響を与えた。
スピーディーで重厚な演出と画面運び、間断のない緊張感の連続、リアルな表現など、黒澤美学の集大成とも言える娯楽映画の最高峰である。

＜あらすじ＞
「子供を間違えた。だが、誰の子だろうとかまわない。三千万円は、おまえが出すんだ」横浜郊外の丘の上にそびえたつ、婦人靴メーカーの老舗・ナショナルシューズ常務取締役権藤の邸宅に、二度目の脅迫電話がかかってきた。それは、権藤の部下、河西が株買い占めの資金五千万円の小切手を持って大阪にたつ直前のことであった。犯人は権藤の子供と間違えて、お抱え運転手・青木の息子をさらったのである。だが、たとえ自分の子供と間違えられたとはいえ、お抱え運転手の息子のために、その小切手をつかうことはできない。金を出さないと叫ぶ権藤に、三度、電話が・・・・異常な神経と明晰な頭脳を持つ知能犯が挑んだ完全犯罪、そして、それを追う警察捜査陣!