＜商品の情報＞
これこそヨーロッパ。これこそ映画美。ジャン・コクトーが名著を完全映像化! 圧倒的な映像美!

原作はルプランス・ボーモン夫人の童話。「人を外見で判断してはいけません」という教訓とも読めるのを、さすがジャン・コクトーは愛の力を描く華麗で幻想的な物語にしあげきった。野獣じつは王子と美女ベルの恋人とがジャン・マレーの二役(ふたやく)にした彼の設定は、なにか新しい寓意を生みだしたようにも思え、面白い。

この作品は第2次世界大戦後に封切られた最初の新作フランス映画で、1948年のことであった。それまでどちらかというと現実生活を題材とするアメリカ映画に慣らされていたぼくらは、初めて見る非現実の世界の美しさにボーゼンとしたものである。ヒョウそのものの奇怪な野獣の特殊メークと身を包む豪華な衣裳、愛に餓えてあえぎながら死んでゆく眼の悲痛な光――戦争の残した廃虚の中でそれを創りだそうと試みた文化こそヨーロッパの奥深さなのかと、まさしくあのときひらめいて、わかったような気がしたのだった。

原題 LA BELLE ET LA BETE

＜あらすじ＞
美しく心優しい娘のベルは、古城で薔薇を盗んだ父親を助けるため、城の主である野獣と暮らすことに。