＜商品の情報＞
死ぬことで、僕の烙印を君たちに残そう。

「明日、死のう」そう言ってアランはかつての友人たちをつぎつぎに訪れる。24時間の行脚のなかで、彼はますます人々とつながるパイプを見うしない、自身の絶望を確認してゆく。製作時、監督はアランと同い歳。｢死刑台のエレベーター｣から5年、ルイ・マルの代表作と評される作品だ。エリック・サティのピアノ曲が素晴らしい。不安、精神の飢餓をただよわせるスクリーンに、〈ジムノペディ〉〈グノシェンヌ〉の渇いた旋律が溶けて流れこみ、異様なほどの寂寞感を醸しだす。サティ音楽の静かなブームが｢鬼火｣によって起こった。

＜あらすじ＞
アランはアルコール中毒で療養中、ひたすら死に取りつかれていた。壁の鏡には7月23日の文字。それは彼が命を絶つ日。パリに出た彼は旧友を訪ね、昔なじみの女性と食事をともにする。これらの出会いも彼の心を変えることは出来なかった。そして、アランは静かに拳銃の引き金を引いた。