＜あらすじ＞
日本敗戦直後の苛烈な世相を、小津監督が鮮烈に描いた傑作！美少女から演技派女優へ。田中絹代の熱演と風格が光る社会派ドラマ！／小津安二郎監督の戦後第２作。従来の小津作品とは大いに装いを変えたドラマティックなストーリーが異色ではあるが、もはや淡々とした日常など描くこと不可能なほどに当時の日本は貧困・荒廃の極みにあったのだ。しかし、その悲痛さを隠すことなく、むしろもがき苦しみの中から新たな再生を願おうという、そんな小津監督の決意すら感じられる意欲的問題作に仕上がっている。田中絹代は夫がいない時の一人芝居じみた設定の数々や、佐野周二扮する夫が帰ってきてからの演技合戦などなど、極めつけはショッキングな階段落ちシーンと、全編を通して複雑な感情の揺れを体を張りつつも、細やかに表現し、毎日映画コンクール女優演技賞を前年に続いて連続受賞している。