＜あらすじ＞
■ストーリー
高校生のみすずは、小さい頃から孤独だ。みすずの母親は小さい頃、兄を連れていなくなってしまった。そんなある放課後、みすずは新宿の繁華街に足を運んでいた。数日前、母が家を出てから会うことのなかった兄が突然現れ、みすずに、ジャズ喫茶Bのマッチを手渡していたのだった。店内に進むと、煙草の煙が立ち込める退廃的なフロアの奥に、彼らはいた。女にもてるうえ人望も厚い兄の亮、そんな亮を慕うアングラ劇団の看板女優ユカ、作家志望で積極的にデモに参加している浪人生のタケシ、ケンカっぱやい肉体派のテツ、お調子者でムードメーカーのヤス、そして他とは違う雰囲気で1人ランボーの詩集に目を落としている東大生の岸。こうして仲間に加わったみすずの生活は少しずつ変化していく。学校にいるよりも、家にいるよりもBで過ごす時間が増える。笑顔が増える。生まれて初めて味わう“仲間”という温かい感覚。そして岸に対して生まれた、切ない感情…。いつの間にかみすずにとってBはかけがえのない場所になりつつあった。 そんなある日、岸がみすずにある驚くべき相談を持ちかける。「現金輸送車から三億円を強奪しないか？」。突拍子もない計画に言葉を失うみすず、しかし真剣な表情の岸の一言でみすずの気持ちは固まった。「おまえが必要なんだ」。こうしてみすずはこの壮大な計画に徐々にのめり込んでいく…。