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現代のエレクトラ伝説 名門家族の姉弟に隠された過去…ヴィスコンティ唯一のミステリー

ヴェネツィア映画祭グランプリ受賞『熊座の淡き星影』は、巨匠ヴィスコンティの円熟期の名作である。この作品は、有名な古代ギリシャ悲劇のエレクトラとオレステス伝説の現代版である。物語の舞台は古代エトルリアの都市ヴォルテッラの実家に立ち寄る。実家には思いがけずサンドラの弟ジャンニがいた。古めかしい館に滞在するうちに、サンドラの夫は妻の過去に秘密が隠されていることに気づく。それは忌まわしい秘密であった…。

映画のタイトルは、イタリアの詩人ジャコモ・レオパルディの詩の一節である。また、サンドラの弟ジャンニの自伝的な小説のタイトルでもある。撮影は『ルードヴィヒ』のアルマンド・ナンヌッツィで、モノクロの映像美は特筆に価する。全編で使われているピアノ曲は、19世紀フランスの作曲家セザール・フランク『前奏曲、コラールとフーガ』である。出演は『山猫』のクラウディア・かルディナーレ、『昼顔』のジャン・ソレル、『唇からナイフ』のマイケル・クレイグ、『情事』のレンツォ・リッチと、豪華な顔ぶれである。他にフランス映画の名作『舞踏会の手帖』のマリー・ベルが特別出演している。

『熊座の淡き星影』は、わが国では長らく公開されず、ようやく1982年に公開された。その後、ビデオ化がされず今回が初のDVD化である。

【受賞】
1965年ヴェネツィア映画祭金獅子賞、チネマ・ヌオーヴォ賞