「ヘヴィ・メタルの祖」と呼称された伝説的英国ヘヴィ・メタル・バンドによるIRSレコードから発表された14枚目スタジオ・アルバムです。メンバーはバンド・リーダーのトニー・アイオミ(G)のほか、前作「HEADLESS CROSS」に引き続いてトニー・マーティン(Vo)、ジェフ・ニコルズ(Key)、コージー・パウエル(Dr)の3人と前作に伴うツアーから参加したニール・マーレイ(B)という鉄壁の布陣、プロデュースは再びアイオミとパウエルが担当、全英24位を記録しましたが全米では200位圏外と振るいませんでした。アルバム・タイトルや幾つかの楽曲は北欧神話を由来とするものですが、バンドはコンセプト・アルバムであることを否定しています。バンド特有のダークさは薄れ、徹頭徹尾に様式美サウンドが繰り広げられております。「TURN TO STONE」の亜流ながらも格好良い疾走曲の2.THE LAW MAKERやイントロのドラム・ソロも素晴らしいギャロップ・ビートの9.HEAVEN IN BLACKを始め、ドラマティックな1.ANNO MUNDI、16ビートのギター・リフの刻みが格好良い3.JERUSALEM、最もかつてのバンド・サウンドに近いおそろしくヘヴィな4.THE SABBATH STONESも良い。エモーショナルな8.FEELS GOOD TO MEは新機軸。厳かなインスト曲5.THE BATTLE OF TYR〜アコースティック・ギターを基調とした幻想的な6.ODIN'S COURT〜パウエルの破壊的なドラミングと多重コーラスが魅力の7.VALHALLAへの流れは本作のハイライト。高い完成度を誇る作品ですが、かつとのバンド・サウンドから最もかけ離れた作品でもあります。