米国の人気ペイント・バンドによるカサブランカ・レコードから発表された8枚目スタジオ・アルバム(邦題は「仮面の正体」)です。前作に引き続きプロデューサーにヴィニ・ポンシアを迎えてニューヨークのレコード・プラント・スタジオにて制作され、全米35位を記録しました。アメコミ調のアルバム・ジャケットが秀逸で、そのタイトルから「ついにメンバーがメイクを落とすのか」と発売前から話題となりましたが、実際にメイクを落とすのはまだ先の話で、売り上げは50万枚でゴールド・ディスク止まりと低迷しました。メンバーはポール・スタンレー(Vo,G)、ジーン・シモンズ(Vo,B)、エース・プレーリー(Vo,G)のほか、クレジット上はピーター・クリスの名がありますが、実際には前作同様にアントン・フィグがドラマーを務めています。ディスコ・サウンドを取り入れた前作「DYNASTY」も物議を醸し出した作品でしたが、外部ライターのペンによるAOR風の楽曲を多数収録し、ピーター以外にも各パートのメンバーが演奏していない曲があるなどバンドらしさに欠けるのが難点です。それでも、ポールのハイピッチな歌唱が印象的な1.IS THAT YOU?、爽やかで美しいバラード2.SHANDI、キャッチーな3.TALK TO ME、秀逸なハード・ポップ曲6.TOMORROW等、楽曲のクオリティは決して低くありません。本作発表後にピーターが脱退し、ついにオリジナル・メンバーでの体制が崩壊してしまいます。