「ヘヴィ・メタルの祖」と呼称された伝説的英国ヘヴィ・メタル・バンドによるヴァーティゴ・レコードから発表された11枚目スタジオ・アルバム(邦題は「悪魔の落とし子」)です。前年発表のライヴ・アルバム「LIVE EVIL」発表後に脱退したロニー・ジェイムズ・ディオ(Vo)とヴィニー・アピス(Dr)の後任にトニー・アイオミ(G)とギーザー・バトラー(B)は何と元DEEP PURPLEのイアン・ギラン(vo)と前々作「HEAVEN AND HELL」発表後にバンドを脱退したビル・ワード(Dr)を迎えております。引き続きジェフ・ニコルズ(Key)が参加。プロデュースはバンド自身とロビン・ブラックが担当。禍々しさに満ちたアルバム・ジャケットを手掛けたのはオジー・オズボーンの「SPEAK OF THE DEVIL」も手掛けたスティーヴ・ジュール。全英4位、全米39位を記録しましたが、バンドにとって売上がゴールドにも届かなかった初のアルバムとなってしまいました。当時は「ギランの歌唱やイメージはBLACK SABBATHには合わない」などと酷評されましたが、先入観に捉われなければ問題なく、迫力あるオープニング曲の1.TRASHED、不気味なイントロの4.THE DARKからの極悪極まりないサウンドの5.ZERO THE HERO、ヘヴィネスで疾走感抜群の6.DIGITAL BITCHを始め、スペーシーなインスト曲2.STONE HENGEからのギランの狂気染みた笑い声が印象的な3.DISTURBING THE PRIEST、ドラマティックな7.BORN AGAIN、サミー・ヘイガーの「THERE'S ONLY ONE WAY TO ROCK」の様なギター・リフの8.HOT LINE、血を這う様にヘヴィな9.KEEP IT WARMといった好曲を収録した名盤です。本作発表後にアルコール依存性のリハビリのためにワードがバンドを脱退し、元E.L.O.のベヴ・べヴァン(Dr)がツアーに起用されましたが、結局アイオミ以外のメンバー全員がバンドを去ることとなります。